スポーツドライビングの薦め
ヒール&トウを考える


『サーキットではヒール&トウができないといけない』と思っている人が居ますが、それは間違いです。 サーキットだからでは無く、ミッション車の運転では必要であると思います。



コーナー進入時のシフトダウン
そもそもコーナー進入時にシフトダウンをするのは何故でしょうか?
コーナー脱出時にエンジンパワーが一番出るギアにしておく事、コーナー中にアクセルコントロールが出来易いギアにしておく事、エンジンブレーキを使える事、等があるでしょう(最近はブレーキ性能が上がった為、強制シフトダウンによるエンジンブレーキはあまり必要とはなっておりません)。 サーキット走行でタイムアップを考えるなら、少しでもエンジンのパワーを有効に使った方がいいです。 そのためにもコーナー進入前に有効なギアへのシフトダウンが必要です。

ヒール&トウの必要性
ヒール&トウと、フットブレーキどちらが重要か?と聞かれたら、絶対フットブレーキと言います。 でもヒール&トウは必要です。 それは何故でしょうか?
シフトダウンの手順を考えてみましょう。
  1. クラッチを切る。
  2. ギアを落とす。
  3. クラッチをつなぐ。
  4. そして減速する。
やっている操作は、クラッチとミッションです。
カタログのミッションギア比表を見て欲しいのですが、同じ速度でもギアによって回転数が違います。 ギアを落とせば、回転数は数十%増えます。 ギアを変えてクラッチをつないだ時、その回転数分の力は何処へ行くのでしょう。 その力は、クラッチとシンクロ(ミッション内)に行きます。

クラッチは、エンジンとミッションをつなぐ/切る為の装置(ブレーキパットと同じような物によって構成されています)で、そこで出力の伝達の調整ができます。 クラッチが滑るとは、つながっているはずが、滑って、力が完全に伝わらない時をいいます。 この滑る状態が多くなると、ブレーキ同様発熱し、最悪切れない、つながらない状態になります。 もちろん伝達材は減り、無駄な消耗をする(クラッチが無くなるとは、伝達材が消耗して、十分な性能が出ない事を言います)ことになります。

シンクロは、その回転速度の違いを吸収する為のギアなんですが、ミッションを雑に操作すると、ギアの歯が欠け、ギアが入らなくなる(難く)事になります。 特にヒール&トウをやらなかった場合は、シンクロに目一杯負担をかける事になるので、消耗はとても大きくなります。 ミッションオイルのドレンボルトは磁石になっていて、バリを吸い付ける事が出来るようになっていますが、そこに大量にバリが付いているようなら、シフト操作に注意した方がいいです。

そして車の挙動については、シフトダウンによる急激なエンジン回転数の変化によって、車がふらつき、挙動が乱れます。 タイヤの運動性能を常に発揮する為には、タイヤにかかる荷重・方向を一定にする必要があります。 急激な挙動変化は、運動性能を低下させる原因となり、特に雨の時はスピンにつながる可能性が高くなります。 また高速旋回中のシフトダウンは、大変危険となります。

説明した通り、スポーツドライビングをする為には、ヒール&トウは必要な技術であると言えます。 単純なスピードアップ技術というより、高速走行における車を労わる技術としても考えて欲しいです。 クラッチ交換も高価ですが、さらにミッション交換となるとかなり大掛かりです。 少しでもランニングコストを下げる為にも、車を労わりながら、速く走る技術を身に付けるべきと思います。

ヒール&トウの練習
練習なら一般道で十分できます。
step1:アクセルをあおる練習
シフトダウン時にアクセルをあおる練習からします。 通常走行の4速、5速から一個づつギアを落とし、クラッチをつなぐ時に、アクセルを『ブォン』と吹かします。 スムーズにギアがつながればOKです。 スピードが高くなくても良いので、空いている道でやってみてください。

step2:ヒール&トウのイメージ練習
駐車場でエンジンをかけない状態で、ペダルとシフトの練習をします。 特に右足のブレーキと、アクセルとの位置や、それによるドライビングポジションの修正をします。 ここで必要なら調整ペダルをつける必要が出てきます。 ちなみに店長は、アクセル側は板を挟んで1.5cm以上上げています。

step3:ヒール&トウの実戦
一般道を走りながら停車する時や、特に交差点を曲る時に練習をします。 一般道ですので、スピードが遅くなりますが、その時の方が微妙な調整が必要になりますので、練習になります。 店長は、もうクセになっているので、どんな時でもヒール&トウをやっています。

step4:サーキット走行
最後に実際サーキットでやってみます。 そのコーナーによって進入スピードが違うので、そのコ−ナー毎にリズムや、アクセルの入れ方などが違ってきます。 後は走り込みの中から見付けて行きます。


ヒール&トウの必要性について分かって頂けたでしょうか? 確かにヒール&トウができないとサーキットを走れ無いか?と言うと、全くそんな事はありません。 しかし、ちょっとでも速く・安定して・コストを抑えて走るには、必要なドライビング技術であると言えます。 サーキット走行に慣れた方に是非チャレンジして欲しいスポーツドライビング技術です。


ガレージ宿河原